LAYER 01
今すぐ、無料でできること。
無料でできる
PC とルーターの設定を 9 つ見直すだけで、侵入の入口はかなり減ります。
PC に名前を付ける
名前を付けてもセキュリティは上がりません。しかし、不正な動きを検知したときに、その PC が誰のもので、どこに置いてあるかがすぐ分かります。「LAN ケーブルを抜く」という即行動ができるかどうかは、ここで決まります。
ブラウザは Google Chrome にそろえる
セキュリティ性能だけを見れば、Chrome も Microsoft Edge も差はありません。Edge の中身は、Google が無料で配っている Chromium という Chrome のエンジンです。Chrome を勧める理由は、保存したパスワードが漏えいしていないかを Google が調べて知らせてくれることと、スマートフォンでも同じ Chrome を使えば設定とパスワードがそろうことです。世界のシェアは Chrome が約 69%、Edge が約 5%(StatCounter、2026 年 8 月、全デバイス)3。事実上の標準を使うことは、それ自体が安全につながります。
パスワードを使い回さない
ひと昔前は「8 文字以上で、覚えられるのは 3 つまで、だから使い回す」が普通でした。いまはブラウザが覚えてくれるので、人が覚える必要はほとんどありません。ただし、ブラウザだけに預ける運用は不安が残ります。そこで、パスワード管理ソフトの Bitwarden を勧めます。個人利用は無料で、「14 文字で大文字と記号を含む」といったパスワードを作って覚えてくれます8。どのサイトに登録したかも一元管理できます。スマートフォン用のアプリもあり、覚えておくパスワードは Bitwarden を開く 1 つだけになります。PC を買い替えるときの楽さは、無料とは思えないほどです。
多要素認証とパスキーを使う
多要素認証は、パスワードに加えてスマートフォンなどで本人確認をする仕組みです。パスワードが漏れても、それだけでは入れません。パスキーはさらに進んだ仕組みで、端末の中に保存された秘密の鍵で本人を証明します。鍵はサーバーに送られないので、サイト側から盗まれることがありません7。PIN や指紋は、端末の鍵を使うための本人確認にすぎず、それ自体が外に出ることもありません。使えるサービスでは、パスキーを優先してください。
Windows のウイルス対策は、そのままで十分
Windows に最初から入っているウイルス対策(Microsoft Defender)は、第三者機関のテストで最上位クラスの評価を受けています(AV-TEST 2026 年 6 月4、AV-Comparatives 2026 年 2〜5 月5)。インターネットにつながっている状態で使うことが前提ですが、普通の会社の PC ならその条件は満たしています。有料のウイルス対策ソフトにも良さはあります。しかし、セキュリティ全体で考えると、ここの費用を抑えて別の層を厚くする方が、守りは強くなります。ウイルス対策とは、すべてのファイルの出し入れと動作を検査することです。製品を選ぶときは、検出性能だけでなく「PC が重くならないか」も見てください。
スマートフォンを PC で充電しない。USB メモリを使わない
USB 経由のウイルス侵入は、思いのほか多いです。社内でスマートフォンの充電を認めている会社でも、PC からではなく電源タップから充電してください。「スマートフォンは Windows ではないから感染源にならない」は誤りで、以前から報告があります12。
ルーターの管理パスワードを必ず設定する
インターネット回線のルーター(ひかり電話対応のホームゲートウェイなど)の管理画面には、必ずパスワードを設定してください。社内からしか入れないとしても、ウイルスに感染した PC が出ると、真っ先に書き換えられるのがここです。外部から入るための「裏口」を仕掛けられると、見つけるのも直すのも、非常に時間がかかります。
Wi-Fi の暗号化は WPA3 に
Wi-Fi の暗号化方式は WPA3 だけを有効にしてください。WPA3 は 2018 年に登場した方式6なので、古いノート PC が対応していないことがあります。その場合は WPA2 と WPA3 の混在モードを使います。WPA2 より前の方式(WEP、初代 WPA)は使わないでください。買ったままの状態では WPA2 だけになっていることが多いです。
機器とデバイスドライバーを最新にする
機器は自動更新が有効になっているかを確認します。見落とされがちなのがデバイスドライバー(機器を動かすためのソフト)です。推奨のドライバーは Windows Update で自動配信されますが、すべての最新版が届くわけではありません9。「オプションの更新プログラム」や、メーカーのサイトで確認する必要があります。
出典
- StatCounter Browser Market Share(2026 年 8 月、全デバイス) https://gs.statcounter.com/browser-market-share
- AV-TEST Microsoft Defender(2026 年 6 月) https://www.av-test.org/en/antivirus/home-windows/windows-11/june-2026/microsoft-defender-antivirus-consumer-4.18-261315/
- AV-Comparatives Real-World Protection Test(2026 年 2〜5 月) https://av-comparatives.org/tests/real-world-protection-test-february-may-2026/
- Wi-Fi Alliance「Wi-Fi CERTIFIED WPA3」(2018 年 6 月) https://www.wi-fi.org/news-events/newsroom/wi-fi-alliance-introduces-wi-fi-certified-wpa3-security
- FIDO Alliance「Passkeys」 https://fidoalliance.org/passkeys/
- Bitwarden「Password Manager Plans」 https://bitwarden.com/help/password-manager-plans/
- Microsoft サポート「推奨ドライバーの自動取得」 https://support.microsoft.com/en-us/windows/hardware/drivers/automatically-get-recommended-and-updated-hardware-drivers
- ITmedia「スマートフォン経由のウイルス感染」(2010 年) https://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1003/10/news026.html